名詞と動詞と形容詞の重要性
プロンプトの基本公式(Role + Goal + Constraints + Input + Output Format)を効果的に使う上で、実は名詞・動詞・形容詞といった言葉の使い方が、AIが内容を正確に理解し・正しく出力するための重要な鍵になります。以下では、それぞれの品詞がプロンプトにおいて果たす役割を掘り下げて解説します。
名詞(Nouns)の重要性
「何について語らせたいのか」を示すキーワード
- 目的やテーマとなる対象を明示する
例:「SNSマーケティング」、「論文」、「クラウドサービス」、「在庫管理システム」など - 何の専門家として振る舞ってほしいのか、何を扱ってほしいのかといった、AIが回答するための「話題の的」を明確化する
名詞の選び方
- 一般的な単語よりも、専門用語・固有名詞を意図的に使うと、AIが文脈を理解しやすい
- ×「いい感じの分析」→ 何を指しているか曖昧
- ○「在庫データの需要予測分析」→ より具体的な名詞でテーマを絞る
- 同じ名詞を繰り返し使い、一貫したテーマや対象を示すと、回答がブレにくい
例:RoleやGoalにおける名詞
・「あなたは経営コンサルタントの専門家です」(役割)
・「私の目標は、新しいBtoB向けSaaS製品を開発することです」(目的)
動詞(Verbs)の重要性
「AIに何をさせたいのか」を明確化する
- プロンプトで使われる動詞は、AIが実行すべきタスク(アクション)を示す
- 例: 「リストアップする」、「比較する」、「分析する」、「要約する」、「提案する」 など
動詞を正確に指定するメリット
- ゴールに沿った回答が得られる
- 「◯◯について分析して」→ データや文章を解読し、示唆を出す回答
- 「◯◯をリストアップして」→ 必要な要素の列挙
- 回答の形式をイメージしやすくなる
- 「◯◯をステップバイステップで説明して」→ 分割された手順が出力されやすい
例:ConstraintsやOutput Formatでの動詞指定
・「箇条書きで要点を整理して回答してください」(Constraints)
・「最後に例を提示してください」(Output Format)
形容詞(Adjectives)の重要性
「回答の質やスタイル」を指定する
- 形容詞(および形容詞的に機能する表現)を使うことで、回答のトーン・濃度・尺などのニュアンスを指定できる
- 例: 「具体的な提案」、「簡潔な要約」、「徹底的な分析」、「フォーマルな文体」 など
形容詞を使った具体的な指定例
- 詳しさ・深さを指定
- 「簡潔に100文字以内で教えてください」
- 「詳細に300~400文字程度で解説してください」
- 文体や雰囲気を指定
- 「分かりやすい言葉で」「柔らかい口調で」
- 「専門用語を使って」「カジュアルに」
形容詞の注意点
- 形容詞だけでなく、その定義や基準も添えるとより正確な回答を得やすい
- ×「しっかり説明して」→ “しっかり”がどの程度か曖昧
- ○「300文字程度で、専門用語も含めて詳細に」→ “詳細”の目安を示す
具体例で見る「名詞+動詞+形容詞」の組み合わせ
総合例
以下は、Role・Goal・Constraints・Input・Output Formatに「名詞・動詞・形容詞」を意識的に盛り込んだプロンプト例です。
【Role】
あなたはデジタルマーケティングに熟練した経営コンサルタントです。
【Goal】
私たちのSNSマーケティング(Instagram、Twitter)の
エンゲージメント率を改善する**具体的**な施策を知りたいです。
【Constraints】
1. 施策は**3つ**に厳選してください。
2. 各施策について、メリットとデメリットを
**箇条書き形式**で**簡潔に**まとめてください(1施策につき100文字以内)。
【Input】
現在、InstagramとTwitterでそれぞれ月3回程度投稿しているが、
フォロワー数の伸びが停滞している。
配信しているコンテンツは主に製品の告知やキャンペーン情報です。
【Output Format】
1. 施策名: (名詞)
- メリット: (動詞を使いつつ、形容詞で質を指定)
- デメリット: (動詞+形容詞)
2. 施策名: …
3. 施策名: …
解説
- 名詞:「SNSマーケティング」「エンゲージメント率」「Instagram」「Twitter」「施策」「メリット」「デメリット」
- 動詞:「改善する」「知りたい」「厳選する」「まとめる」
- 形容詞:「具体的な」「簡潔に」「詳細な(必要に応じて)」
これらを組み合わせることで、AIが「SNSマーケティング施策」を「簡潔にまとめる」ことを目的として「3つに厳選」する回答を返しやすくなります。
まとめ
- 名詞(Nouns)
- テーマ・対象・話題を明確化し、AIが「何について回答すればいいか」を理解しやすくする
- 専門用語や固有名詞を使って絞り込み・文脈の明示を行う
- 動詞(Verbs)
- AIに「どのようなアクション」を取ってもらいたいかを示す
- 「分析する」「要約する」「提案する」「比較する」など、目的に合った動詞を選ぶ
- 形容詞(Adjectives)
- 回答の質・スタイル・トーンを指定する
- 「簡潔に」「具体的に」「フォーマルに」「詳細に」など、どの程度・どんなイメージで回答すべきかを伝える
この3つを的確に使うメリット
- AIが回答すべき内容・範囲・文体・深度をより正確に理解し、ズレの少ない答えを生成しやすくなる
- 「求めている答え」と「実際に返ってくる答え」の間のギャップが小さくなる
- 追加の修正や再質問が減り、生産性が上がる
「プロンプトの基本公式」を構成する要素(Role, Goal, Constraints, Input, Output Format)に加えて、名詞・動詞・形容詞の使い方を意識することで、より明確かつ緻密なプロンプトを組み立てることができます。結果として、AIから得られる回答も格段に精度が上がるはずです。