ChatGPTを使いこなしてインフラ業務をラクにする!
IaC・トラブルシューティング・短時間資料作成への活用術
1. はじめに
インフラエンジニアとして、日々の業務に忙殺されていませんか?
サーバ構築やネットワーク設定、障害対応、膨大なドキュメント作成など、やらなければならないタスクは山積み。
そんな中、近年注目を集めているのがChatGPTです。ChatGPTは、大規模言語モデル(LLM)を活用したAIアシスタントとして、IaC(インフラ構成コード)の生成やトラブルシューティングの効率化、さらには短時間での資料作成まで多岐にわたって活用できます。
本記事では、中級インフラエンジニアに向けて、ChatGPTを実務でどう使うか、出力の誤りを防ぐための“セルフチェック術”とは何かなど、具体的なノウハウを解説します。これを読めば、あなたの生産性と市場競争力は“爆速”で高まるはずです。
2. なぜ中級インフラエンジニアにChatGPTが有用なのか
2.1 ChatGPTの概要と特徴
ChatGPTはOpenAIが開発した大規模言語モデル(LLM)で、自然言語を介してさまざまな知見を提供してくれます。プログラムコードの生成やテキスト翻訳、文書要約など、多岐にわたるタスクに対応可能です。
- コード生成: 特定のプログラミング言語を指定すると、テンプレートやサンプルコードを自動生成。
- 要約: 膨大なドキュメントやログを短時間でスキャンし、要点をまとめる。
- 翻訳: 英語ドキュメントや海外フォーラム記事を簡単に理解。
2.2 インフラエンジニアが抱える課題とChatGPTの解決策
中級インフラエンジニアが日々直面する課題には、以下のようなものがあります。
- 障害対応に時間がかかる
ログを一行ずつ分析し、原因を特定するには時間と経験が必要。 - IaCの学習コストや手順化
TerraformやAnsibleなど新しいツールのベストプラクティスを知るのは大変。 - ドキュメント作成が負担
作業手順書やアーキテクチャ図の文章化など、日々の細かい作業が追いつかない。 - 英語ドキュメント読解のハードル
最新の技術情報は英語で公開されることが多い。
ChatGPTを活用することで、障害解析やIaCコード自動生成、英語ドキュメント翻訳要約などが効率化され、結果として業務時間削減と品質向上を同時に実現できます。
3. ChatGPT活用シーン別ガイド
ここでは、ChatGPTがどのように日常のインフラ業務をサポートできるかを、具体的なプロンプト例とサンプル出力例とともに解説します。
3.1 障害調査・トラブルシューティング
プロンプト例(ログ解析のポイント抽出)
以下のNGINXエラーログを要約し、特に重大度の高いエラー行を抽出してください。
可能であれば考えられる原因と対処法も箇条書きで示してください。
[ERROR] 2025/01/15 12:00:01 [emerg] 10457#0: bind() to 0.0.0.0:80 failed (98: Address already in use)
[ERROR] 2025/01/15 12:00:05 [warn] 10457#0: upstream response time 5s ...
[ERROR] 2025/01/15 12:05:10 [crit] 10502#0: *1 connect() failed (111: Connection refused)
...
3.1.2 得られる結果の例
<-- ChatGPT出力サンプル -->
重大度の高いエラー行
1. [emerg] ... bind() to 0.0.0.0:80 failed (98: Address already in use)
- 原因候補: 同一ポート(80)を使用している別プロセスが存在
- 対処案: 重複プロセスを停止する / ポート番号を変更する
2. [crit] ... connect() failed (111: Connection refused)
- 原因候補: サーバがダウンしている or ファイアウォール設定
- 対処案: サーバの稼働状況やネットワーク設定を確認
軽度の警告行
- [warn] upstream response time 5s ...
- 原因候補: サーバ負荷が高い、またはネットワーク遅延
- 対策案: リソース状況を確認し、スケールアウトやチューニングを検討
ログを見やすくまとめるだけでなく、考えられる原因や対策案も提案してくれるため、トラブルシューティングの時間を大幅に削減できます。
3.2 IaC(Terraform, Ansible, CloudFormationなど)のコード生成
3.2.1 初回生成→セルフチェックの流れ
プロンプト例(Terraformコードの生成)
AWSでVPC、パブリックサブネット、EC2インスタンス1台を構築する
Terraformコードを作成してください。インスタンスタイプはt3.microで、
OSはAmazon Linux2を使用します。ファイルはmain.tf形式でお願いします。
得られる結果の例
<-- ChatGPT出力サンプル -->
# main.tf
provider "aws" {
region = "us-east-1"
}
resource "aws_vpc" "main_vpc" {
cidr_block = "10.0.0.0/16"
}
resource "aws_subnet" "public_subnet" {
vpc_id = aws_vpc.main_vpc.id
cidr_block = "10.0.1.0/24"
availability_zone = "us-east-1a"
map_public_ip_on_launch = true
}
resource "aws_internet_gateway" "igw" {
vpc_id = aws_vpc.main_vpc.id
}
resource "aws_route" "public_route" {
route_table_id = aws_vpc.main_vpc.default_route_table_id
destination_cidr_block = "0.0.0.0/0"
gateway_id = aws_internet_gateway.igw.id
}
resource "aws_instance" "web_server" {
ami = "ami-0c2b8ca1dad447f8a" # Amazon Linux2
instance_type = "t3.micro"
subnet_id = aws_subnet.public_subnet.id
tags = {
Name = "ChatGPT_Example_Server"
}
}
以上のように、VPCやサブネット、ルートテーブル等の最低限リソースを定義し、インスタンスを起動するコードをまとめて生成してくれます。
3.2.2 ベストプラクティスへの質問
追加プロンプト例
このTerraformコードのセキュリティグループ設定を追加し、HTTP(80)の許可を加えたいです。
また、Terraformのベストプラクティスがあれば併せて教えてください。
得られる結果の例
<-- ChatGPT出力サンプル -->
resource "aws_security_group" "web_sg" {
name = "web-server-sg"
description = "Allow HTTP inbound traffic"
vpc_id = aws_vpc.main_vpc.id
ingress {
description = "HTTP from anywhere"
from_port = 80
to_port = 80
protocol = "tcp"
cidr_blocks = ["0.0.0.0/0"]
}
egress {
from_port = 0
to_port = 0
protocol = "-1"
cidr_blocks = ["0.0.0.0/0"]
}
}
resource "aws_instance" "web_server" {
...
vpc_security_group_ids = [aws_security_group.web_sg.id]
...
}
<-- ベストプラクティス例 -->
1. variables.tfやoutputs.tfを分割し、可読性を高める
2. Terraformステートをリモートバックエンド(S3やTerraform Cloudなど)で管理
3. モジュール化により重複を削減しメンテナンス性を向上
3.3 ドキュメント作成・ナレッジシェア
3.3.1 作業手順書・設計書のドラフト自動作成
プロンプト例
RDSの定期バックアップ手順書を作成したいです。
以下の要件を踏まえた箇条書きを作成し、最低限含めるべき項目をリストアップしてください。
要件:
1. DBはMySQL互換
2. スナップショット頻度は1日1回
3. バックアップ保存期間は7日間
4. バックアップからのリストア手順も含めたい
5. 運用担当者が実行しやすい簡潔な形が望ましい
得られる結果の例
<-- ChatGPT出力サンプル -->
「RDS定期バックアップ手順書」項目例
1. 概要
- バックアップ対象: MySQL互換のAWS RDS
- バックアップ頻度: 1日1回 (自動スナップショット)
- 保存期間: 7日間
2. スナップショット取得手順
- AWSコンソール→RDS→自動スナップショット設定 ...
3. リストア手順
- スナップショットから新規DBインスタンスを起動 ...
4. 注意事項
- バックアップの成否を翌朝確認する運用担当者手順 ...
5. 運用上のヒント
- 必要に応じて手動スナップショットを取得 ...
- リソース上限や予算管理も適宜チェック
3.3.2 社内WikiやConfluenceへの掲載
Markdown形式やHTML形式での出力をChatGPTに指示すれば、社内ドキュメントへの貼り付けもスムーズに行えます。
3.4 短時間での説明資料(スライド)作成
プロンプト例
AWS ECSとEKSの違いを10枚程度のスライドで中級エンジニア向けに紹介したいです。
それぞれの特徴、メリット・デメリット、使い分けの基準を盛り込んだ
スライドアウトラインを提案してください。
得られる結果の例
<-- ChatGPT出力サンプル -->
1. スライド1: タイトル & アジェンダ
- 「ECSとEKSの違いを知るメリット」
2. スライド2: ECSとは
- Amazon ECSの概要、主要機能(Fargate対応 など)
3. スライド3: EKSとは
- Amazon EKSの概要、Kubernetesマネージドサービスである点
4. スライド4: メリット・デメリット比較 (ECS)
- シンプルさ / AWS依存度 / エコシステムの違い
5. スライド5: メリット・デメリット比較 (EKS)
- Kubernetes標準 / 運用の複雑さ / バージョン管理
6. スライド6: 使い分けの基準
- 運用コスト / マルチクラウド戦略 / チームのK8s知識 ...
7. スライド7: 実例 (小規模 vs. 大規模)
- 小規模ならECS推奨、大規模マイクロサービスならEKS ...
8. スライド8: 導入時の注意点
- セキュリティ、ログ・監視の設定、コスト ...
9. スライド9: まとめ
- ECSとEKSの違いを踏まえた選択ポイント
10. スライド10: Q&A & 次のステップ
- 学習リソース、参考リンク
短時間でアウトラインを得られるため、デザインや事例を肉付けするだけで完成度の高いスライドを作成できます。
4. ChatGPTの出力結果をChatGPT自身で検証させる“セルフチェック術”
4.1 セルフチェックが必要な理由
ChatGPTの回答は膨大な学習データを元に生成されますが、常に最新・正確とは限りません。
誤った情報や古いバージョンの知識が混在する可能性があるため、「セルフチェック術」で精度を高める必要があります。
4.2 セルフチェックの具体手順
- 初回回答を得る
例: 「Terraformコードを生成してください」と依頼。 - 出力結果を再度ChatGPTに貼り付けてレビュー依頼
「以下のTerraformコードを検証し、誤りや改善点があれば指摘してください。 可能なら参考にすべき公式ドキュメントのURLや、ベストプラクティスも提示してください。 (生成されたコードを貼り付け)」
- 根拠や参考リンクを尋ねる
「AWS公式ドキュメントではどのページが該当しますか?」などで信頼性を補強。 - 自社ルールとの整合性を最終チェック
セキュリティポリシーや命名規則などは組織ごとに異なるため、最終的には人間が判断。
4.3 コードレビュー・ドキュメント校閲への応用
- GitHub PRでの応用
プルリクエストに含まれるTerraform/AnsibleコードをChatGPTに見せて、「問題点や改善点を指摘して」とリクエスト → さらにセルフチェックで正当性を検証。 - ドキュメント校閲
長文の設計書や手順書をChatGPTに貼り付けて、「要点をまとめて分かりやすく」と依頼 → セルフチェックで不整合や誤記を洗い出す。
5. マネジメント・コミュニケーションでも活用するChatGPT
プロジェクト進行のためには、要件の整理やチーム内外への情報共有が欠かせません。ChatGPTはテクニカルな面だけでなく、マネジメント・コミュニケーションにも威力を発揮します。
5.1 プロジェクト要件ヒアリングの要約・整理
プロンプト例
以下は、A社との要件ヒアリングで出た項目のメモです。要件を整理し、
インフラ技術要件・予算・納期に分けて箇条書きにまとめてください。
さらにリスク要因があれば指摘してください。
【メモ】
- A社はECサイトのリニューアルを来年4月までに完了させたい
- 現行はオンプレ、AWSかGCPへの移行を検討
- 予算は500万円ほど
- セール時期のスケーリングが必須
- OSはCentOS 7とWindows Server併用
- A社内にクラウド運用経験者が少ない
- マイクロサービス化は未検討
...
得られる結果の例
<-- ChatGPT出力サンプル -->
インフラ技術要件
- オンプレからAWS or GCPへの移行
- セール時のオートスケーリング対応
- OSはCentOS 7 + Windows Server
予算・納期
- 予算: 約500万円
- 納期: 来年4月末
リスク要因
- クラウド運用経験者不足 → 運用体制の構築に時間がかかる可能性
- マイクロサービス化の必要性を再検討する必要がある
このようにヒアリングメモを整理し、エンジニアだけでなくビジネスサイドも理解しやすいフォーマットにまとめられます。
5.2 提案文書やメールのドラフト作成
プロンプト例
A社に提出する「AWS移行の提案書」のドラフトを書きたいです。
以下の要素を含んでください。
1. インフラ構成案 (EC2 + RDS)
2. スケジュール (4月末リリース想定)
3. 予算: 500万円
4. A社側にAWS運用経験がないことのリスク
5. 監視・バックアップ戦略
得られる結果の例
<-- ChatGPT出力サンプル -->
提案書ドラフト
1. インフラ構成案
- EC2インスタンス2台(Webサーバ&アプリサーバ)、RDS(MySQL互換) ...
2. スケジュール
- 1月〜3月: 設計・構築, 4月: テスト・移行, 4月末: リリース ...
3. 予算と内訳
- EC2/RDSの月額見積り, 運用サポート費, 予備費 ...
4. リスクと対策
- A社のAWS運用経験不足 → トレーニングや運用手順書を整備 ...
5. 監視・バックアップ戦略
- CloudWatch & SNSを用いたアラート設計, 毎日スナップショット ...
提案書やメールのドラフト作成時間を大幅に削減し、チーム内でも内容をすばやく共有可能です。
6. 市場競争力を高める実践ポイント
6.1 新技術キャッチアップ & コミュニティ発信
プロンプト例(海外記事要約)
以下の英語記事を要約して、AWS周りの新機能と導入メリットを
中級インフラエンジニア向けに分かりやすく説明してください。
[英語記事URL or テキストを貼り付け]
得られる結果の例
<-- ChatGPT出力サンプル -->
要約:AWS新機能と導入メリット
- 新機能1: AWS Lambdaのメモリ最大量拡張 → 高負荷処理がより容易に
- 新機能2: 新リリースのAmazon ECS CLI → ECSタスク管理が簡素化
- 導入メリット: サーバレス活用範囲の拡大、オペレーション負荷の低減
- 注意点: コスト最適化とセキュリティ設定(ロール管理) ...
これをコミュニティの勉強会でLT発表やブログ記事にすれば、発信力・認知度の向上につながります。
6.2 DevOps・SRE視点でのChatGPT活用
・CI/CDパイプライン プロンプト例
GitLab CI/CDのpipeline.ymlを改善したいです。
アプリのビルド→ユニットテスト→Dockerイメージ作成→ECRへプッシュ という流れを整理するサンプルコードを作ってください。
得られる結果の例
<-- ChatGPT出力サンプル -->
stages:
- build
- test
- dockerize
- deploy
build_job:
stage: build
script:
- echo "Building application..."
- ...
test_job:
stage: test
script:
- echo "Running tests..."
- ...
docker_job:
stage: dockerize
script:
- docker build -t myapp .
- docker tag myapp:latest ...
deploy_job:
stage: deploy
script:
- docker push ...
only:
- main
運用監視・エラーバジェット分析
「エラーバジェット計算のやり方を教えて」「SLOやSLI設定の例を出して」といった質問でSREプラクティスを導入する際のヒントを得ることも可能。
7. まとめと行動喚起(CTA)
- ChatGPTを使って効率化
ログ解析やIaCコード生成、ドキュメント作成など、業務時間を削減できるシーンは数多く存在します。 - セルフチェックで信頼性確保
ChatGPT自身に再レビューさせる「セルフチェック術」で誤情報を減らし、最終的には公式ドキュメントや社内ポリシーでダブルチェック。 - コミュニティ発信でスキルアップ
ChatGPT活用事例を公開したり、チーム内でノウハウを共有することで、市場での評価もさらに高まります。
今すぐ始めるアクション
- 小規模プロジェクトから「ChatGPTでログ解析」「Terraformコード生成」を試す
- セルフチェック用のプロンプトテンプレートを用意し、チームで共有
- 勉強会やブログで活用事例を発表し、知見を広める