ChatGPT使い倒し入門シリーズ 第09回

第09回
設計から改善へ:プロンプトを育てる

  • 目的:プロンプトを設計し育てていく思考法を身につける
  • ゴール:出力の精度を上げるプロンプト調整力が身につく
  • 対象読者:ChatGPTを使ってみたけど「思った通りに出力されない」と感じている人、改善の仕方が分からない初心者〜中級者

「ちゃんと伝えたはずなのに、なんか違う答えが返ってきた…」
そんな経験、ありませんか?
ChatGPTはとても便利な相棒ですが、プロンプトの“伝え方”次第で出力の質は大きく変わります。

この回では、ChatGPTにうまく伝えるための「改善→調整→記録」の流れを学びます。
プロンプトは“作って終わり”ではなく、“育てていく”もの。その視点を一緒に身につけましょう。

9-1. プロンプトは“育てるもの”という発想

9-1-1. 改善サイクルの基本 🔄

プロンプトは、何度も試行錯誤しながら“育てていく”ものです。
いきなり完璧な指示を出すのではなく、小さな改善を繰り返していきましょう。

🔁 改善の4ステップ

  • ① 初期プロンプトを作る
  • ② 出力を見て「何が足りないか」を見つける
  • ③ 条件や形式を追加・調整する
  • ④ 出力が納得できるまで育てていく

9-1-2. 試行錯誤の実例 🛠

以下は、実際にプロンプトを育てた改善の流れです。

試行回 プロンプト 出力の特徴 改善ポイント
初回 二酸化炭素について説明して 専門用語が多く、小学生には難しい 対象(小学生)を指定していない
2回目 小学生にもわかるように、二酸化炭素の特徴を説明して 言葉はやさしくなったが長文で読みにくい 構成(箇条書きなど)を指定する
3回目 小学生向けに、箇条書きで二酸化炭素の特徴を3つ教えて 簡潔で分かりやすく改善 ✅完成形

9-1-3. 視点を分けて考える 📌

改善すべきポイントは、以下の3つの観点で整理できます。

  • 対象:誰向けの出力か?(例:小学生、初心者、ビジネスパーソン)
  • 形式:どういう形で出してほしいか?(例:箇条書き、表、文章、対話形式)
  • 粒度:ざっくり概要でいいか?細かく丁寧にしてほしいか?
💡POINT:
1回でうまくいかなくても大丈夫。
「どの視点が不足していたのか?」を見つけることが改善の第一歩です。

9-2. 記録して育てる視点

9-2-1. バージョン管理で“学び”を残す 📂

出力が変化する過程を記録しておくことで、「どんな指示が効いたか」がわかり、次回以降の改善に活かせます。

  • Notion・メモアプリ・Googleドキュメントなどに記録
  • プロンプトと出力のセットを保存
  • 改善した理由や意図も書いておくと再利用しやすい
「このキーワードを入れると、より具体的になった」
「表にしてほしいと伝えたら、ぐっと読みやすくなった」
— そんな“自分だけの学び”は財産です。

9-2-2. よくある質問とつまずきポイント ❓

Q. 出力がいまいちだけど、どこを直せばいいかわからない…

A. 以下の3つの観点から見直してみましょう。

  • 対象:誰に向けた内容か、はっきり指定したか?
  • 形式:出力の形(表・リストなど)を伝えているか?
  • 粒度:詳細さ(ざっくり/丁寧)を伝えているか?

9-2-3. よくある失敗と改善ポイント ⚠️

改善しようとして「やりすぎる」「曖昧すぎる」など、失敗例にも学びがあります。

失敗パターン プロンプト例 改善案
詰め込みすぎ 初心者にもわかるように、かつプロ向けの情報も含めて、子どもでも理解できるように説明して 対象を一つに絞って伝える(例:初心者向け)
指示が曖昧 もっとわかりやすくして 「小学生でもわかるように」など具体的に指示する
💡TIP:
失敗も記録することで、同じミスを繰り返さずに済みます。
それも「プロンプトを育てる」大事な一歩です。

9-2-4. 今すぐ使える!練習用プロンプト ✅

以下は、この記事の内容をすぐに試すための練習用プロンプトです。コピーして活用してください。

  • 小学生にもわかるように、地球温暖化を3つの箇条書きで説明して
  • 親しみやすいトーンで、「ChatGPT活用法」を初心者向けに紹介してください
  • 次の内容を表形式でまとめてください:プロンプトの4ステップ

9-2-5. うまくいかないときの「応急プロンプト」 🧯

困ったときにそのまま使える再指示用テンプレも覚えておくと安心です。

この出力をもっとわかりやすく・具体的にするにはどうすればいい?
このプロンプトの改善点を教えてください:
【ここに自分のプロンプトを貼る】
✅ ChatGPTは「改善の相談」にも丁寧に応じてくれるパートナーです。

9-3. 実践と発展ワーク

9-3-1. 自分で育ててみよう ✍️

以下のテーマから1つ選び、改善の4ステップ(設計→出力→改善→記録)を実践してみましょう。

  • テーマ①:小学生に「地球温暖化」を説明する
  • テーマ②:初心者向けに「確定申告の基本」を教える
  • テーマ③:読みたくなる記事タイトルを10案提案してもらう
📝 記録テンプレート例:
・初期プロンプト:
・出力結果:
・改善の意図:
・改善後プロンプト:
・満足度(1〜5):
このように記録しておくと、プロンプトの成長が見えるようになります。

9-3-2. 出力の構造をデザインする 🧱

ChatGPTに「どう出力してほしいか」を構造的に伝えることで、回答の精度と整理度が一気に上がります。

この内容を箇条書きで3つに分けて、小学生向けに説明してください。
次の情報を表形式で整理してください:
・今週の目標  
・進捗状況  
・課題点  
・次の行動

9-3-3. 複数条件をうまく伝える 💡

「形式+トーン+対象」など、条件を複数伝えるときは整理して明示しましょう。

目的 複合プロンプト例
要点+トーン指定 以下の内容を3行で要約し、親しみやすいトーンで書き直してください。
抽象と具体の両立 「創造性とは何か」を一言で定義し、日常の具体例を2つ挙げてください。
表形式+具体例追加 自己紹介のポイントを表形式で3つ。それぞれに具体例も添えてください。

9-3-4. ChatGPTに設計を相談する 🧠

「どんなプロンプトを作ればいいかわからない…」そんなときは、ChatGPTに“設計案”を相談してしまいましょう。

このテーマで良い出力を得るには、どんなプロンプト設計が適していますか?  
テーマ:子ども向けにプログラミングを教える方法
このテーマに適したプロンプトの設計例を3パターン教えてください。  
対象・語調・出力形式を含めて構成してください。
「プロンプトを考えるプロンプト」を作るのも、立派な活用スキルです。
ChatGPTは“設計相談役”にもなってくれます。
✅ ChatGPTは「実行役」だけでなく「設計パートナー」としても使えます。
複雑な目的ほど、設計相談から始めるのが正解です。

9-4. この記事のまとめと学びの振り返り ✅

ここまで、プロンプトを“育てていく”ための考え方と実践ステップを見てきました。
ポイントは、完璧な1発ではなく「改善→記録→再利用」の繰り返しです。

ステップ やること
① 設計 目的・対象・出力形式を明確にしてプロンプトを構成
② 出力 ChatGPTに指示し、得られた回答を観察する
③ 改善 足りない点や曖昧な点を補って再指示する
④ 記録 プロンプトと出力のセットで履歴を保存する
⑤ 再利用 改善済みのプロンプトをテンプレート化して繰り返し使う

このサイクルを回せば、あなたのプロンプト力は確実にレベルアップしていきます。

9-5. 次回への橋渡し ▶️

プロンプトは、その場限りで使い捨てるものではありません。
育てたプロンプトは“型”にして残すことで、何度でも再利用できる資産になります。

次回(第10回)では、いよいよ「マイテンプレート化」にチャレンジします。
自分だけの「使えるプロンプト集」を作るステップに進みましょう。

  • ✅ よく使うプロンプトを整理・分類する方法
  • ✅ 改善履歴を活かしてテンプレートを進化させる工夫
  • ✅ 自分専用の“マイプロンプト集”を作って共有・再利用するコツ
📌 プロンプトは、記憶ではなく「仕組み」で再現する時代へ。
次回からは「型として使えるプロンプト」を一緒に構築していきます。

▶️ 第10回のテーマ:マイテンプレートを作り、改善履歴を活かす