【SV】第6章:ビジネス視点の取り入れ ~技術をビジネス成果に結びつける~

【SV】第6章:ビジネス視点の取り入れ ~技術をビジネス成果に結びつける~

サーバーエンジニアとして成長するには、技術力だけでなく「ビジネス視点」を持つこと も重要です。システムの安定運用だけでなく、コスト削減・効率化・業務改善 など、企業の利益に貢献できるエンジニアが求められています。

特にオンプレミス環境では、サーバー運用コストの最適化、クラウドとのハイブリッド戦略、自動化による業務効率向上 などを意識することが必要です。本章では、エンジニアがビジネスに貢献するための具体的な取り組み を解説します。


6-1. オンプレミス環境のコスト管理

📌 サーバー運用にかかるコストを意識する

サーバーエンジニアとしての役割は、安定したインフラの運用だけではなく、コストを意識した最適な運用 も求められます。
オンプレミス環境では、ハードウェア・電力・データセンター運用費・保守契約費 など、多くのコストが発生します。
これらを適切に管理することで、無駄な支出を抑えつつ、最適なパフォーマンスを維持する ことが可能になります。

主なコスト要素

  • ハードウェアコスト(サーバー・ストレージ・ネットワーク機器)
  • 運用コスト(電力、冷却、データセンターの賃料)
  • 人件費(監視・保守業務の労働コスト)
  • ライセンス・保守契約費用

📌 具体例:「1台のサーバーを5年間運用する場合のコスト計算」

  1. ハードウェア購入費用: 300万円(5年間使用)
  2. 電力コスト: 1台あたり500W消費 → 月間360kWh → 1kWhあたり27円
    • 月額9,720円、年間116,640円
  3. データセンターのラック費用: 1Uあたり年間12万円 → 5年間で60万円
  4. 保守契約: 年間20万円 → 5年間で100万円

📌 合計費用: 300万円 + 60万円 + 100万円 + 電力コスト58.3万円 = 約518.3万円(5年間)
📌 1台あたりの年間運用コスト: 103.6万円

💡 「実際のコストを可視化することで、どの部分を最適化すべきかが見えてくる!」


📌 今日からできるアクション

自社のサーバーの年間運用コストを試算し、どこでコスト削減できるかを検討する
電力消費の多いサーバーをリストアップし、不要なものがないか見直す
リプレース計画を作成し、「いつどのサーバーを更新するか?」を明確にする


6-2. オンプレミスとクラウドのハイブリッド環境

📌 クラウド移行を考えるべきか?オンプレを維持すべきか?

近年、多くの企業がクラウドへの移行を進めていますが、完全に移行するのではなく、
オンプレミスとクラウドのハイブリッド環境を活用するケースが増えています。
この背景には、コスト・セキュリティ・パフォーマンスのバランスが関係しています。

ハイブリッド環境の適用例

  • 基幹システム(ERP、社内DB)はオンプレミスに維持(セキュリティ・パフォーマンス重視)
  • 開発・テスト環境はクラウドに配置(柔軟性・コスト削減)
  • バックアップやDR対策としてクラウドストレージを利用

📌 具体例:「ハイブリッド環境の設計」

  1. オンプレミス環境で基幹システムを運用(データベース、業務アプリケーション)
  2. 開発チームはAWS/GCPのクラウド環境でテストを実施し、本番環境へ移行
  3. バックアップデータはクラウドストレージ(S3, Azure Blob Storage)へ保管

💡 「クラウド vs オンプレ」ではなく、「適材適所の使い分け」が重要!


📌 今日からできるアクション

自社のシステムのクラウド化の方針を確認し、オンプレとクラウドの役割を整理する
クラウドストレージ(S3、Azure Storage)の料金プランを調べ、コストを試算する
VPNやDirect Connectの仕組みを調べ、ハイブリッド環境のネットワーク構成を学ぶ


6-3. 運用業務の自動化と効率化

📌 どの業務を自動化すべきか?

サーバー運用には、定期的に実施する作業(ログ監視、バックアップ、パッチ適用)があります。
これらを手作業で行っていると、時間がかかる上に人的ミスのリスクも増大 します。
そこで、自動化を進めることで、より価値の高い業務に集中できる ようになります。

自動化の対象

  • サーバー構築(Ansible, Terraform)
  • ログ監視の自動化(Elasticsearch, Splunk, CloudWatch)
  • バックアップの自動化(rsync, Bacula, Veeam)

📌 具体例:「Ansibleでサーバーの初期設定を自動化」

  1. AnsibleのPlaybookを作成し、OSの基本設定を自動化
  2. パッケージのインストール(nginx, firewalld)をスクリプト化
  3. 複数のサーバーに一括適用し、設定ミスを防ぐ

💡 「自動化できる業務」を見つけ、少しずつスクリプト化していこう!


📌 今日からできるアクション

現在の業務の中で、手作業で繰り返しているものをリストアップする
簡単なシェルスクリプトを作成し、日常業務の一部を自動化する
Ansibleの基本を学び、サーバー設定の自動化に挑戦する


6-4. まとめ ~技術をビジネスに活かす視点を持とう~

オンプレミス環境のコストを計算し、運用最適化を考える
クラウドとのハイブリッド環境の設計を理解し、最適な組み合わせを考える
運用の自動化を進め、効率的な管理を実現する
エンジニアとして、ビジネス成果につながる提案ができるようになる

💡 「技術×ビジネス」の視点を持つエンジニアが、次世代のリーダーになる!