第2回の補足:PERT図とは?
PERT図(Program Evaluation and Review Technique 図)は、プロジェクトのタスク(作業)とそれらの依存関係を視覚的に表したネットワーク図です。プロジェクト管理において、スケジュール計画や所要時間の見積もりを精度高く行うために使用されます。
1. PERT図の基本構成
PERT図は、以下の要素で構成されます。
① ノード(Node)
- 作業(タスク) を表す円や矩形(ボックス)
- 各ノードには作業名や所要時間が記載される
② 矢印(Arrow)
- 作業間の 依存関係(順番) を示す
- 矢印の方向が、作業の実行順序を示す
③ クリティカルパス(Critical Path)
- プロジェクトの完了までに最も時間がかかる経路(最長経路)
- クリティカルパス上のタスクは 遅れるとプロジェクト全体の納期に影響する ため、最重要ポイントとなる
2. PERT図の例
例えば、「新規Webサイトを開発する」プロジェクトがあるとします。
タスク一覧
作業番号 | 作業内容 | 所要日数 | 先行作業 |
---|---|---|---|
A | 要件定義 | 5日 | なし |
B | デザイン作成 | 7日 | A |
C | フロントエンド開発 | 10日 | B |
D | バックエンド開発 | 12日 | B |
E | 結合テスト | 8日 | C, D |
F | リリース準備 | 5日 | E |
この情報を元に、PERT図を作成すると以下のようになります。
A (5)
↓
B (7)
↙ ↘
C (10) D (12)
↘ ↙
E (8)
↓
F (5)
クリティカルパスは、「A → B → D → E → F」 で、合計 37日(5+7+12+8+5) かかります。この経路のどれかが遅れると、プロジェクト全体のスケジュールが遅延する可能性があります。
3. PERT図のメリット
- プロジェクトのボトルネック(最も時間のかかる工程)を明確にできる
- タスクの依存関係を視覚化し、並行作業が可能な部分を特定できる
- スケジュールの余裕(バッファ)がどこにあるかを把握できる
- リスク管理がしやすくなる
4. PERT図の活用例
- システム開発(要件定義、設計、開発、テスト、リリース)
- 建設プロジェクト(設計、資材調達、施工、検査)
- イベント運営(準備、広報、当日運営、片付け)
5. PERT図とガントチャートの違い
項目 | PERT図 | ガントチャート |
---|---|---|
目的 | 依存関係とスケジュールの最適化 | スケジュールの進捗管理 |
表現方法 | ネットワーク図 | 横棒(バー) |
特徴 | クリティカルパスを特定しやすい | 進捗を可視化しやすい |
▶ 結論:
- プロジェクト計画時にはPERT図
- 進捗管理にはガントチャート
- 両方を併用するのがベスト
PERT図を活用することで、スケジュールの精度を上げ、プロジェクト全体を効率よく管理することができます。