第05回
プロンプトの型・トーン・ロールを使い分ける
- 目的:ChatGPTに「何を・どんなふうに伝えればいいか」が分からない悩みを解消し、思い通りの出力を得るコツを学ぶ
- ゴール:用途に応じてプロンプトの型・トーン・ロールを使い分けられるようになり、質問・依頼の精度がぐっと上がる
- 対象読者:ChatGPTを使い始めて間もない方や、「もっと的確に伝えたい」と感じている初心者〜中級者
5-1. プロンプト型の使い分け方
5-1-1. どの型を選ぶべき?判断の3ステップ 🎯
プロンプトを考えるときは、まず以下の3点を意識しましょう。
- 何を求めているか(例:調べたい・まとめたい・言い換えたい)
- どう整理してほしいか(例:表に・箇条書きで・ステップで)
- 誰の視点で答えてほしいか(例:専門家・保護者・初心者)
5-1-2. プロンプト型の比較と使いどころ 📌
代表的な4つのプロンプト型を、簡単な例とともに紹介します。
基本型: 調べたいことを直接質問。
例:「人工知能とは何ですか?」
要約型: 長い文章を短く整理してもらいたいときに。
例:「この文章を3行でまとめてください」
書き換え型: 文章のトーンや読みやすさを変えたいとき。
例:「この文章をやさしい言葉に直して」
出力形式指定型: リストや表で構造化された回答がほしいとき。
例:「3つのステップで説明してください。リスト形式で」
5-1-3. NGプロンプト例と改善ポイント ⚠
ありがちな失敗例として、「ふんわりした指示」があります。
→ どこを、誰向けに、どう変えたいかが曖昧
改善するには、次のように具体的にします:
✅ 「専門家として、論理的に背景から説明してください」
5-2. トーン・対象指定で伝わり方が変わる
5-2-1. Before / After:伝え方を変えるだけでここまで違う 📖
「AIとは何か」を聞くプロンプトでも、伝え方を少し変えるだけで返ってくる回答はまったく異なります。
「AIとは何ですか?」
→「AI(人工知能)とは、人間のように思考・学習するコンピューター技術です。」
→「AIは、人の代わりに考えてお手伝いしてくれるロボットのようなものです。」
このように、「誰向けに」「どんな雰囲気で」を伝えるだけで、ChatGPTの回答は驚くほど変わります。
5-2-2. トーンの違いが与える印象 🎭
同じ内容でも、トーンによって印象や伝わり方がまったく異なります。
やさしいトーン:
安心感や親しみを与えたいときに最適。説明も丁寧で柔らかくなります。
ビジネス調:
フォーマルな場面で使うトーン。信頼性・論理性が高く、提案や報告書に適しています。
カジュアル:
SNSや会話文など、くだけた印象で距離感を縮めたいときに便利です。
専門的:
学術論文や業界向けの解説に有効で、正確さと情報の網羅性が重視されます。
5-2-3. トーン選びのコツ 🧭
「トーンに迷ったら」、以下の2点を意識してみましょう。
- 誰に伝えたいのか?(例:子ども・上司・一般読者)
- どんな印象を持ってもらいたいのか?(やさしい?専門的?親しみやすい?)
相手に合った“伝え方”を選ぶだけで、理解度も反応もアップします。
5-2-4. 実践:トーンを変えて伝え方を試してみよう 📝
「睡眠の大切さを説明する」というテーマを使って、3つのトーンの違いを体験してみましょう。
- やさしいトーン:
「しっかり眠ると、体も心も元気になって、明日がもっと楽しくなるよ!」 - ビジネス調:
「睡眠は業務効率や集中力の向上に大きく影響します。習慣的な睡眠管理が推奨されます。」 - カジュアル:
「最近寝不足?とにかく7時間寝れば全部マシになるよ〜」
内容は同じでも、読み手の行動や理解に影響する重要なポイントです。
5-3. ロール指定で視点を切り替える
5-3-1. 専門家ロールの使い方と効果 🧠
ChatGPTは「◯◯の専門家として答えて」と伝えることで、特定の立場・視点からの回答をしてくれます。
たとえば「子どもの食事についてのアドバイス」を求めるときも、「小児科医として」とロールを指定することで、内容がぐっと具体的になります。
5-3-2. Before / After:ロール指定でどう変わる? 🧪
同じ「子どもの食事」についての質問でも、ロールを指定するだけで回答の視点と深さが大きく変わります。
「子どもの食事についてアドバイスして」
→ 子どもには栄養バランスのとれた食事が大切です。野菜も取り入れましょう。
「小児科医として、子どもの食事についてアドバイスしてください」
→ 幼児期は鉄分不足が起こりやすいため、レバーや赤身の肉を週に数回取り入れると良いでしょう。また、咀嚼力を育てるため、やわらかすぎない食材も意識的に加えてください。
両者を比べると、「ロールを指定するだけで、より具体的で専門性のある回答」が得られることがわかります。
5-3-3. よく使われるロールと活用例 🎓
専門家: 医療・教育・法律・ビジネスなど、専門的視点が求められるときに。
親や先生: 子ども向けの説明や、やさしい口調のアドバイスに効果的です。
反対意見の立場: 意見の比較や検討のために「別の視点」を得るのに役立ちます。
説得力や具体性を高めたいときに特に効果的です。
5-3-4. 実践:ロールを変えて出力を比較してみよう 📝
以下のテーマを使って、異なるロール指定でChatGPTに答えさせてみましょう。
- テーマ:「睡眠の大切さを説明する」
- ロール1: 保健の先生として、小学生に向けて
- ロール2: 医療研究者として、科学的根拠を交えて
5-4. 実践・テンプレート・まとめ
5-4-1. すぐ使えるテンプレート3選 ✅
ここでは、型・トーン・ロールの使い分けを実践に活かせる「汎用テンプレート」を3つ紹介します。
① 知識をわかりやすく教えてもらいたいとき:
「◯◯について、□□の専門家として、やさしく説明してください」
② 上司向けに整った文章が欲しいとき:
「以下の内容を、ビジネス文調で、上司向けに要点をリスト化してください」
③ 複数の視点を比較したいとき:
「このテーマについて、中立な立場と反対意見の両方を示してください」
5-4-2. 実践ワーク:プロンプトの書き換えに挑戦 📝
以下のプロンプトを、型・トーン・ロールの視点から書き直してみましょう。
- 元のプロンプト:
「節電のポイントを教えて」 - 改善例:
「小学生向けに、やさしい言葉で“節電のポイント”を3つ教えて。リスト形式でお願いします」
改善例では、「対象(小学生)」「トーン(やさしく)」「形式(リスト)」が加わっています。
5-4-3. 次にやるべきこと ▶
今日学んだ「型・トーン・ロール」の考え方を活かして、あなたのプロンプトを見直してみましょう。
- 最近使ったプロンプトに、対象やトーンの指定を加えてみる
- 同じ質問を、複数のロールで試して違いを比べてみる
- 良いプロンプトをメモして、「自分専用テンプレ」として蓄積していく
「伝え方」を変えるだけで、世界が変わります。
第6回では「ChatGPTに“良い質問文”を提案してもらう」方法をご紹介します。
自分で考えなくても、用途に応じたプロンプト案をChatGPTが提案してくれる——そんな便利な使い方を体験してみましょう。