ChatGPT使い倒し入門シリーズ 第08回

第08回
ChatGPTの出力を“育てる”:再指示と深掘りの技術

  • 目的:ChatGPTの回答に満足できないとき、自分で“望む形に育てていく”ための再指示・深掘り技術を学ぶ
  • ゴール:思い通りの答えが引き出せるようになり、質問力と応用力をステップアップさせる
  • 読者ターゲット:ChatGPT初心者〜中級者で、「なんか違うけど、どう伝えればいいか分からない」と感じたことがある人
💡 この回では「そもそもなぜ再指示や深掘りが必要なのか?」を、ChatGPTの仕組みとともにやさしく解説します。

8-1. なぜ再指示・深掘りが必要なのか?

8-1-1. ChatGPTは“最初の1回”で完結しないAI

ChatGPTに質問して、返ってきた答えが「悪くはないけど、なんか違う…」と感じたことはありませんか?
実はそれ、ChatGPTが「最初の質問だけでは、あなたの意図を完全には読み取れない」からです。

ChatGPTは文章の文脈から意図を読み取りますが、それはあくまで「推測」
つまり、「こういうことを言いたいのかな?」と仮説を立てて答えているにすぎません。

💬 たとえるなら:
ChatGPTは、最初の質問をもとに“たたき台”を出してくれるアシスタント。
本当に役立つ答えにするには、「ここをもう少しこうして」とあなたが調整する必要があるのです。

8-1-2. “再指示”と“深掘り”で、会話が進化する

ここで活躍するのが「再指示」や「深掘り」といった会話の調整スキルです。
一度出力された内容に対して「もっと短く」「図で」「やさしく」など、追加で指示を出すことで、出力の精度がぐんと上がります。

  • ✅ 再指示:出力に対して「もっと○○して」と具体的に指示する
  • ✅ 深掘り:出力の一部を取り上げて「なぜ?」「他には?」と掘り下げる

このような対話の積み重ねこそが、ChatGPTを“使いこなす力”=プロンプト編集力の第一歩なのです。

📌 ポイントまとめ:

  • ChatGPTの出力はあくまで「仮の回答」
  • 再指示や深掘りを通じて“理想の答え”に近づけていく
  • 会話を重ねることこそが、最も自然な使い方

8-2. うまくいかない再指示と、その理由

8-2-1. 「再指示したのに、伝わらない…」の原因とは?

ChatGPTに「もっとちゃんと書いて」「なんか違う」と伝えたのに、
返ってきた答えもまたピンとこない…という経験はありませんか?

その原因の多くは、再指示があいまいすぎることにあります。
ChatGPTは人間のように“空気”や“感情”を読むことができません。
だからこそ、「ちゃんと」「もっと」「いい感じに」などの感覚的な表現はうまく伝わらないのです。

💬 NG例:「なんか違う」→ ChatGPT「すみません、もう少し詳しく教えていただけますか?」

8-2-2. うまくいかない再指示5パターンと改善例

NGな再指示 なぜ伝わらないか 改善例
もっとちゃんと書いて 「ちゃんと」が曖昧で意図が読めない 「初心者向けに、わかりやすく3行でまとめて」
なんか違う 何が違うか具体的でない 「カジュアルなトーンで書き直して」
もっと詳しく どの部分を? どこまで?が不明 「この3点について、例を交えて詳しく」
短くして 「どれくらい短く?」が不明瞭 「要点だけ、箇条書きで3つにまとめて」
分かりやすく 誰にとって? 何が?が抜けている 「中学生でも理解できるように説明して」

8-2-3. ChatGPTの“推測の限界”を知っておく

ChatGPTは、あなたの入力から「こういう回答を求めているのかな?」と仮説ベースで推論しています。
だからこそ、指示があいまいだと「推測が外れる」ことがあるのです。

逆に言えば、ちょっとした補足視点の明示だけで、出力の精度は大きく変わります。
これが再指示の本質です。

📌 ポイントまとめ:

  • ChatGPTは“読み取るAI”ではなく“言語を推測するAI”
  • 「もっと」「ちゃんと」など抽象語は避ける
  • 意図・対象・ゴールを具体的に補足することで意思疎通が深まる

8-3. うまくいく再指示の基本パターン

8-3-1. 再指示は「型」で覚えるとラクになる

うまくいく再指示には明確な“型”があります。
それを覚えてしまえば、あとは「目的に応じて当てはめる」だけです。

✅ 再指示の3大パターン:

  • 形式を変える: 表で、リストで、ステップで
  • トーンを変える: やさしく、カジュアルに、専門的に
  • 視点・対象を変える: 初心者向けに、中学生向けに、実務者視点で

8-3-2. 目的別テンプレート一覧(すぐ使える!)

目的 再指示テンプレート
要点だけ知りたい 「要点だけ3行でまとめて」
構造を整理したい 「表にして」「ステップで説明して」
やさしくしてほしい 「中学生にもわかるように言い直して」
カジュアルにしたい 「友達に話すような口調にして」
別の視点を加えたい 「利用者目線でもコメントして」

8-3-3. Before→Afterで学ぶ:実践改善フロー

💬 Before:「健康について教えて」
💡 After:「初心者向けに、健康習慣の基本を3ステップで教えて」
💬 Before:「もっとわかりやすくして」
💡 After:「小学生にもわかるように例つきで説明して」

8-3-4. 出力が「近づいた」と感じたら、もう一声

再指示のコツは「1ターンで完璧を求めない」ことです。
むしろ、「これでだいぶ近づいた! → じゃあここをもう少し…」という会話の積み重ねこそがChatGPTとの対話の本質。

📌 会話の育て方:

  • ① 初回:ざっくり聞く(たたき台を出してもらう)
  • ② 再指示:トーンや形式を調整してもらう
  • ③ 深掘り:足りない部分を掘り下げる

8-4. 中級者のための“再指示+α”テクニック

8-4-1. ただの再指示から“編集型フィードバック”へ

中級者に進むための第一歩は、ただの再指示ではなく「評価+希望」をセットで伝えることです。
これは、ChatGPTがあなたの“好み”や“狙い”をより深く理解するのに非常に効果的な方法です。

再指示の種類 具体例
評価+改善希望 「内容はいい感じ!もう少しトーンをやさしくしてくれる?」
良い点を指定しつつ追加指示 「例がわかりやすかったです。もう2つ追加できますか?」
足りない視点の補完 「専門家視点はOK。初心者視点も加えてくれるとうれしいです」
💡 ChatGPTは「具体的な指示」だけでなく「感想・意図」も理解できます。
言語表現を“育てる”つもりでフィードバックを伝えてみましょう。

8-4-2. 出力形式を変えると“見え方”が変わる

同じ内容でも、形式を変えるだけで理解度や印象が大きく変わることがあります。
以下のような形式変更は、中級者が自在に活用すべきテクニックです。

  • ✅ 表にまとめて:複数項目を比較したいとき
  • ✅ 箇条書きにして:要点を視覚的に整理したいとき
  • ✅ ステップ形式にして:順番どおりに説明したいとき
  • ✅ 会話風にして:親しみやすくしたいとき

例:
💬「さっきの説明を箇条書きに変えてくれる?」
🧠→ 同じ情報でも、視認性が上がり理解が深まる

8-4-3. 読者・相手の“立場”を指定して掘り下げる

中級者は「誰に向けた内容か?」をChatGPTに明確に伝えることで、出力の精度をさらに上げられます。
これが視点コントロールによる深掘りです。

対象指定 指示例
初心者 「AIを知らない人でも理解できるように」
ビジネス向け 「プレゼン資料で使える表現にして」
中学生 「中学生でもわかるように説明して」
専門家 「研究者に向けたトーンで要約して」
📌 ポイントまとめ:

  • 再指示を「評価+改善」に変えると効果倍増
  • 出力形式を切り替えて“見せ方”を整える
  • 想定読者・相手の視点を指定して深掘りする

8-5. 分野別活用アイデア

ここでは、「再指示 × 深掘り」がどのように実務や学習、創作の現場で使えるのか、
具体的な活用アイデアを分野別に紹介します。
「何に使えるか」ではなく、「どう工夫すれば活きるか」という視点でご覧ください。

8-5-1. ビジネスで使う:要約・提案・トーン調整

  • 🗒 会議メモ →「3行で要点だけまとめて。箇条書きで」
  • 📨 メール文案 →「もっと丁寧に。敬語レベルを調整して」
  • 🧠 アイデア提案 →「上司向けの提案として、ロジカルに整理して」
例:
「この議事録、読みづらいかも?」→「構造を箇条書きに変えて」「要点にマーカーをつけて」
→ 一気に読みやすくなります。

8-5-2. 学習で使う:要点整理・練習問題の生成

  • 📚 歴史の用語 →「中学生向けに、図解付きで説明して」
  • 📝 理解チェック →「この説明に対して、3択クイズを作って」
  • 🔁 要約練習 →「原文を読んで、1文に言い換えてみて」
💡 学習系では「対象(中学生向け)」「形式(リストや図)」「目的(暗記用)」の指定が鍵です。

8-5-3. 創作・趣味で使う:アイデアの深掘りとブラッシュアップ

  • 🎭 小説ネタ →「この設定に矛盾がないか、質問してみて」
  • 🎨 世界観作り →「ファンタジー世界に必要な制度を深掘りして」
  • 🍳 レシピ考案 →「この材料で和風・時短・3ステップの料理にして」

ChatGPTは「自分では気づかなかった視点」も提示してくれる存在です。
再指示を通じて、その幅広さを“引き出す力”があなたに備わります。

8-5-4. 活用のカギは「対象 × トーン × 形式」の組み合わせ

どの分野でも共通するのは、以下の3軸をうまく組み合わせることです。

効果
対象 初心者向け・子ども向け・上司向け 読者に合わせた言い回しになる
トーン やさしく・丁寧に・カジュアルに 印象が変わる/伝わりやすくなる
形式 表・リスト・手順・会話文 視覚的に整理され、理解しやすくなる
📌 応用ポイント:
どんな場面でも「ちょっとだけ変えてみる」を試すことで、再指示の力がどんどん磨かれます。

8-6. スキルアップの道筋と次のステージ

8-6-1. 再指示は“質問力”を鍛えるトレーニング

ここまで学んできた「再指示」や「深掘り」は、単なるテクニックではありません。
それは“質問の質”を高める練習そのものです。
曖昧なまま終わらせず、「何をどうしたいか」を伝える力は、ChatGPTだけでなく、あらゆる対話・文書に応用できます。

💬 ChatGPTの再指示は、あなたの「伝える力」を強化する最高の練習台なのです。

8-6-2. 初級者 → 中級者に進むチェックリスト

チェック項目 できていれば?
「もう少し○○して」と具体的に伝えたことがある ✅ 再指示の第一歩
「どこがどう違うか」を言語化できた ✅ 観察力と比較力がついてきた証
トーンや対象を変えて出力を調整した ✅ 応用力あり
出力形式を切り替えて見やすさを整えた ✅ 表現編集力が身についている

3つ以上当てはまれば、あなたはもう中級者レベルです!
ここからは「プロンプトそのものをどう設計・改善していくか」というステージに進めます。

8-6-3. 次のステップ:「プロンプトを育てる」へ

🎯 次回のテーマ:
「プロンプトを育てる」では、出力を見ながら質問文自体を調整していく方法を学びます。
再指示は“その場”の調整、プロンプト育成は“設計”と“振り返り”です。
両方使いこなすことで、ChatGPTは本当のパートナーになります。