プロンプトの基本公式:最後は「Output Format」に注目しよう
これまで、Role(役割)、Goal(目的/目標)、Constraints(条件)、Input(入力)と順番に掘り下げてきました。今回は、これらと並ぶ要素である「Output Format(出力形式)」に焦点を当てて解説します。
「Output Format」は、AIに出力してもらう際の最終的な形やレイアウト、構成を指定する要素です。ここをしっかり設計するかどうかで、回答の使いやすさや再利用性が大きく変わります。
Output Format(出力形式)とは?
Output Formatとは、文字通りAIからの回答をどんな形で受け取りたいかを表す指示です。以下のような指示内容が考えられます。
- 文章の構成・レイアウト
- 段落構成、見出しやサブ見出し、箇条書きなど
- 文量・文体・スタイル
- マニュアル調、リスト形式、会話形式、など
- フォーマットの細かなルール
- 文字数制限、表やリスト、Markdown形式の指定、HTMLタグの使用可否など
- 回答のセクション分割や項目順
- 「1. 背景」「2. 分析結果」「3. 提案」のように章立てを指定
- 「1. ポイントA:…」「2. ポイントB:…」と箇条書きで列挙するなど
このように、どのように回答を構成して欲しいかを事前に説明することで、人間が後から利用しやすい形に整えられます。
なぜOutput Formatが重要なのか
情報の再利用がしやすくなる
せっかくAIが回答を出しても、文章が長々と続くだけでは要点が把握しにくかったり、コピペで活用しづらいことがあります。Output Formatを指定しておくと、結果をそのまま報告書に貼り付けたり、他のツールに展開したりと、活用の幅が広がります。
回答の見通しを良くする
Output Formatが決まっていれば、AIも文章構成を意識して生成できるため、回答が段落や見出しごとに整理され、読みやすくなります。読み手にとってもすぐに必要箇所を探せるメリットがあります。
多様な利活用を促せる
例えば「データ分析結果を表形式で回答してください」と指示すれば、その表をExcelや他のBIツールに貼り付けて活用できます。また「Markdownで書いてください」とすれば、GitHubのREADMEやブログ記事にそのまま流用可能です。
Output Format指定のコツ
どの程度の細かさが必要かを考える
Output Formatを決めるとき、どこまで厳密に細かい指示を与えるかはケースバイケースです。必要以上に細かくすると自由度が下がり、回答が窮屈になることもあります。
- ざっくり → 「3つの見出しに分けて回答して」
- 詳細に → 「(1)背景、(2)分析、(3)提案 の順に、それぞれ2段落ずつ書いて」
箇条書きやセクション分割を明示する
人間が後から流用しやすい形式にするには、箇条書きやセクション分割が有効です。
- 「最初に概要、その次に詳細、最後にまとめを箇条書きで」
- 「見出し1:○○ / 見出し2:△△ / 見出し3:×× の順で回答」
こうした指定をするだけで、情報の取り回しがかなり楽になります。
マークダウン形式やHTMLタグの利用
プログラミングのチュートリアルやGitHubのドキュメントなどを想定する場合、「Markdown形式で回答して」と指定すると、そのまま貼り付けて見やすい文書になります。また、テーブルを使いたい場合は「Markdownの表形式で示してください」と書くと便利です。
【例】
以下の形式で出力してください:
- 見出しは### で始める
- コードは``` で囲む
- 箇条書きは - を利用
Output Formatと他の要素との連動
Role・Goal・Constraints・Inputとの関係
- Role(役割): AIがどんな立場の専門家やキャラクターとして回答するかにより、必要な形式も変わるかもしれません。
- Goal(目的/目標): 「新規施策の提案を箇条書きに」というように、Goalに沿った形式を考えるのが重要です。
- Constraints(条件): 「1提案あたり80文字以内」「章立て3つに限定」など、具体的な出力量やレイアウトをConstraintsに入れることもできます。
- Input(入力): 大量データをAIに処理させる場合は、アウトプットを表形式で整理するよう指定するなど、InputとOutput Formatを対応づけると理解しやすくなります。
実用例
【Role】
あなたは経営コンサルタントの専門家です。
【Goal】
新製品の販促プランを提案してほしい。
【Constraints】
- 提案は3つに絞る
- 1提案につき100文字以内
- 演出としてターゲットユーザーの年齢層を意識
【Input】
過去3年分の売上データとユーザーアンケートの要約
【Output Format】
1. 提案名
2. 内容(100文字以内)
3. メリット・デメリット(箇条書き)
この例では「3つに絞る」「100文字以内」といったConstraintsがOutput Formatの具体的な部分と連動しています。さらに「メリット・デメリットを箇条書きに」と記載しておくので、AIは提案と同時にメリット・デメリットを分けて出力しやすくなるでしょう。
Output Formatをうまく使うための注意点
- 複数のフォーマット要求のバランス
- 「箇条書きで書いて」かつ「詳細な文章も書いて」と相反する指示を同時に与えると混乱が生じやすい。
- 「どちらを優先すべきか」を明確にするか、あるいは「まずは要約箇条書き、その後に詳細を段落で」など段階を区切って指定するとよいです。
- 表やマークダウンへの対応
- AIによってはマークダウンやHTMLに対応しているものもあれば、部分的に苦手なものもあります。
- 実際に試してみて意図通りのフォーマットになっているか確認し、必要があれば再度修正依頼をかけましょう。
- 使うツールやプラットフォームのフォーマット要件
- 出力をどこで使うのかを先に想定し、それに合わせた形式を指定しておくのが理想的です。
- 例えば社内Wikiで使うなら「MediaWiki形式」、ドキュメントツールなら「Markdown形式」などの形を指定するとスムーズです。
まとめ
- Output Format(出力形式)は、AIからの回答を「どのような構成・レイアウト・文体で受け取りたいか」指定する重要なポイント。
- 形式を細かく指定するほど、回答の再利用性や見やすさが向上し、プロンプトエンジニアリングの効果が最大化される。
- Role・Goal・Constraints・Inputとの連動を意識しながら設計することで、より使い勝手の良い回答を得やすくなる。
- 指示が多すぎるとAIが混乱する場合もあるため、優先順位や段階的な指示も検討してみよう。
これで、プロンプトの基本公式である「Role + Goal + Constraints + Input + Output Format」を一通り掘り下げました。もちろん、実際の活用シーンでは状況に応じて工夫が必要です。ぜひ今回のポイントを参考に、プロンプトをより洗練されたものに仕上げてみてください。