新卒インフラエンジニア向けLinuC 101 試験対策シリーズの最終回・第12回です。シリーズの締めくくりとして、サーバーの根幹に関わる ストレージを扱います。物理ディスクからパーティション、ファイルシステム、マウント、そして LVM までを順に積み上げます。
「ディスクが満杯」「ボリュームを追加した」「データ用パーティションを切り直したい」── こうした作業は仮想・物理を問わず常に発生します。本記事を通して、空のディスクからファイルが置けるマウントポイントが立ち上がるまでの一連を、自分の手で経験してみてください。
環境前提
- ディストリビューション: AlmaLinux 9.6(Sage Margay)
- ユーザー:
developer(sudo NOPASSWD設定済み) - 関連VM:
linuc-alma(10.0.10.132) - 既存ディスク:
/dev/sda(50GB、GPT、LVM 構成)── 触らない - 本回演習用:
/dev/sdb(5GB の追加ディスク)を新規アタッチ - 演習で作るパーティション・LVM・
/etc/fstabエントリは末尾でクリーンアップ
今ここマップ
LinuC 101 試験対策シリーズ(全12回)
第1回 Linuxの起動・接続・停止
第2回 ブートプロセスの仕組み
第3回 systemdマスター講座
第4回 プロセス管理とハードウェア基礎
第5回 仮想マシンとコンテナの基礎
第6回 パッケージ管理マスター
第7回 ファイル操作の実践
第8回 パーミッション・所有者・特殊権限
第9回 コマンドライン・リダイレクト・パイプ
第10回 テキスト処理(grep / sed / awk)
第11回 vi/vim 入門
▶ 第12回 ディスク・パーティション・ファイルシステム ← いまここ
この記事で身につくこと
- MBR と GPT の違い(最大パーティション数・最大ディスクサイズ・対応ファームウェア)を説明できる
fdisk/partedでパーティションを作成・削除でき、lsblkblkidで構造を確認できるmkfs.xfsmkfs.ext4でファイルシステムを作成し、mkswapでスワップを作成できるmountumountでマウント・アンマウントでき、/etc/fstabに UUID 指定で永続化できる- LVM の PV / VG / LV の階層を説明し、
lvextend+resize2fsで論理ボリュームを拡張できる
第1章:ストレージの全体像
1つのファイルが書き出せるまでには、複数の階層が積み重なっています。

本記事ではこの階層を、空の /dev/sdb から順に組み上げていきます。
linuc-almaで実行:
$ lsblk -o NAME,SIZE,TYPE,FSTYPE,MOUNTPOINTS
実行結果:
NAME SIZE TYPE FSTYPE MOUNTPOINTS
sda 50G disk
├─sda1 600M part vfat /boot/efi
├─sda2 1G part xfs /boot
└─sda3 48.4G part LVM2_member
├─almalinux-root 44.5G lvm xfs /
└─almalinux-swap 3.9G lvm swap [SWAP]
sdb 5G disk
sr0 1024M rom
既存の /dev/sda(50GB)は AlmaLinux のシステムディスクで、ESP(/boot/efi、vfat)+ /boot(XFS)+ LVM(root と swap)という現代の標準構成です。/dev/sdb(5GB)が今回の演習対象。空っぽの状態から始めます。
第2章:MBR と GPT
パーティションテーブルには2つの方式があります。古典的な MBR と現代の GPT。
| 項目 | MBR (Master Boot Record) | GPT (GUID Partition Table) |
|---|---|---|
| 登場時期 | 1980年代 | 2000年代後半 |
| 最大ディスクサイズ | 2TB(2^32 × 512B) | ペタバイト級(事実上無制限) |
| 最大パーティション数 | 4 基本(または 3 基本+1 拡張+論理) | 既定 128 |
| セクタ数の管理 | 32bit(512B 換算) | 64bit |
| 典型的な組み合わせ | BIOS | UEFI |
| バックアップ | 1箇所のみ(先頭) | 2箇所(先頭と末尾、自動冗長化) |
現代のサーバー・PC は UEFI + GPT が標準。第2回(ブートプロセス)で確認した /boot/efi(ESP = EFI System Partition)も GPT 上に作られたパーティションです。
linuc-almaで実行:
$ lsblk -o NAME,SIZE,TYPE,PTTYPE
実行結果:
NAME SIZE TYPE PTTYPE
sda 50G disk gpt
├─sda1 600M part gpt
├─sda2 1G part gpt
└─sda3 48.4G part gpt
├─almalinux-root 44.5G lvm
└─almalinux-swap 3.9G lvm
sdb 5G disk
sr0 1024M rom
PTTYPE 列で パーティションテーブル形式が分かります。/dev/sda は gpt、/dev/sdb はまだ何も作られていないので空欄。LVM 上の論理ボリューム(root / swap)はパーティションではないので空欄です。
📖 試験Tipsボックス:MBR と GPT
主題:1.05.2(重要度:高)
出題パターン:「MBR の最大基本パーティション数は?」「GPT の最大パーティション数は?」「GPT が必要となる条件は?」
暗記ポイント
- MBR:最大 4 基本(または 3 基本+1 拡張+論理)/ 最大 2TB / BIOS との組み合わせ
- GPT:既定 128 パーティション / ペタバイト級 / UEFI との組み合わせ
- GPT が必要:2TB 超のディスク、UEFI ブート、多数のパーティション
- 確認:
lsblk -o PTTYPEまたはparted /dev/sdX print - GPT は先頭と末尾の 2箇所にバックアップ(自動冗長化)
第3章:パーティション操作
3.1 パーティション操作の道具
| ツール | 対応形式 | 操作スタイル | 用途 |
|---|---|---|---|
fdisk | MBR / GPT 両対応(util-linux 2.26+) | 対話型(メニュー) | 定番。手作業で1つ作るとき |
gdisk | GPT 専用 | 対話型 | fdisk と似た操作感、GPT 専用機能あり |
parted | MBR / GPT 両対応 | 対話 or スクリプト | 自動化スクリプトに組み込みやすい |
lsblk | 確認のみ | ─ | ツリー表示、サイズ・種別の俯瞰 |
blkid | 確認のみ | ─ | UUID と FS 種別の取得 |
3.2 fdisk -l でディスク情報を見る
linuc-almaで実行:
$ sudo fdisk -l /dev/sdb
実行結果:
ディスク /dev/sdb: 5 GiB, 5368709120 バイト, 10485760 セクタ
ディスク型式: Virtual Disk
単位: セクタ (1 * 512 = 512 バイト)
セクタサイズ (論理 / 物理): 512 バイト / 4096 バイト
I/O サイズ (最小 / 推奨): 4096 バイト / 4096 バイト
空のディスクなのでパーティション情報は出ません。論理セクタ 512B、物理セクタ 4096B という Advanced Format。現代のディスクの標準です。
3.3 parted で GPT ラベル + 2 パーティション作成
本記事では parted でスクリプト的に進めます。--script オプションで対話プロンプトを抑制。linuc-almaで実行:
$ sudo parted /dev/sdb mklabel gpt --script
$ sudo parted /dev/sdb mkpart primary 1MiB 1GiB --script
$ sudo parted /dev/sdb mkpart primary 1GiB 100% --script
$ sudo partprobe /dev/sdb
mklabel gpt:パーティションテーブルを GPT で初期化mkpart primary 1MiB 1GiB:1MiB から 1GiB までを/dev/sdb1として確保mkpart primary 1GiB 100%:残り(1GiB から末尾まで)を/dev/sdb2にpartprobe:カーネルにパーティションテーブルの再読み込みを通知
linuc-almaで実行:
$ sudo parted /dev/sdb print
実行結果:
モデル: Msft Virtual Disk (scsi)
ディスク /dev/sdb: 5369MB
セクタサイズ (論理/物理): 512B/4096B
パーティションテーブル: gpt
ディスクフラグ:
番号 開始 終了 サイズ ファイルシステム 名前 フラグ
1 1049kB 1074MB 1073MB primary
2 1074MB 5368MB 4294MB primary
パーティション 1 と 2 が作成されました。「ファイルシステム」列が空なのに注目 ── パーティションを切っただけで、まだファイルシステムは作っていません。
linuc-almaで実行:
$ lsblk /dev/sdb
実行結果:
NAME MAJ:MIN RM SIZE RO TYPE MOUNTPOINTS
sdb 8:16 0 5G 0 disk
├─sdb1 8:17 0 1023M 0 part
└─sdb2 8:18 0 4G 0 part
📖 試験Tipsボックス:パーティション操作コマンド
主題:1.05.2(重要度:高)
出題パターン:「対話形式でパーティション編集するコマンドは?」「スクリプト向きのパーティションツールは?」「カーネルにパーティション変更を伝えるは?」
暗記ポイント
fdisk対話型(MBR/GPT 両対応) /gdisk対話型(GPT 専用) /parted対話&スクリプト両対応- fdisk サブコマンド:
mヘルプ /n新規 /d削除 /p表示 /w書き込み終了 /q破棄終了 partprobeでカーネルにパーティション変更を通知lsblkツリー /blkidUUID 確認 /cat /proc/partitions簡易一覧
第4章:ファイルシステムを作る
4.1 mkfs ファミリー
| コマンド | ファイルシステム | 典型用途 |
|---|---|---|
mkfs.xfs | XFS | RHEL/AlmaLinux 系の既定。大容量に強い、縮小不可 |
mkfs.ext4 | ext4 | 汎用。Debian/Ubuntu 系の既定。縮小可能 |
mkfs.btrfs | Btrfs | スナップショット・サブボリュームに対応 |
mkfs.vfat | FAT32 | ESP(/boot/efi)や USB メモリ |
mkswap | スワップ領域 | 仮想メモリ用 |
4.2 XFS でフォーマット
linuc-almaで実行:
$ sudo mkfs.xfs /dev/sdb1
実行結果(抜粋):
meta-data=/dev/sdb1 isize=512 agcount=4, agsize=65472 blks
= sectsz=4096 attr=2, projid32bit=1
= crc=1 finobt=1, sparse=1, rmapbt=0
= reflink=1 bigtime=1 inobtcount=1
data = bsize=4096 blocks=261888, imaxpct=25
log =internal log bsize=4096 blocks=16384, version=2
realtime =none extsz=4096 blocks=0, rtextents=0
Discarding blocks...Done.
crc=1(チェックサム)、reflink=1(参照リンクによる効率化)、bigtime=1(2038年問題回避)など、現代の XFS 機能が既定で有効になっています。
4.3 UUID の取得
ファイルシステム作成後、blkid で UUID が見えるようになります。linuc-almaで実行:
$ sudo blkid /dev/sdb1
実行結果:
/dev/sdb1: UUID="c9475d25-11d1-43d6-8fc2-46de01e8bbaf" TYPE="xfs" PARTLABEL="primary" PARTUUID="605f7037-66a5-4158-92f7-2e64c9c62ab3"
UUID:ファイルシステムごとに割り振られる識別子。/etc/fstabで使う本命PARTUUID:パーティションそのものの識別子(GPT 機能)TYPE:ファイルシステム種別(xfs / ext4 / vfat 等)
UUID は ファイルシステムを再作成すると変わるので、本番ではフォーマット直後に控えておきます。
第5章:マウントと /etc/fstab
5.1 mount コマンド ── 一時的な接続
linuc-almaで実行:
$ sudo mkdir -p /mnt/data
$ sudo mount /dev/sdb1 /mnt/data
$ df -h /mnt/data
実行結果:
ファイルシス サイズ 使用 残り 使用% マウント位置
/dev/sdb1 959M 39M 921M 5% /mnt/data
linuc-almaで実行:
$ mount | grep sdb1
実行結果:
/dev/sdb1 on /mnt/data type xfs (rw,relatime,seclabel,attr2,inode64,logbufs=8,logbsize=32k,noquota)
マウントオプションも見えます。rw(読み書き)、relatime(atime更新を最小化)、seclabel(SELinux ラベル対応)など。一時的なマウントを解除するには umount。
linuc-almaで実行:
$ sudo umount /mnt/data
5.2 /etc/fstab ── 永続化
再起動するとマウントは消えます。永続化するには /etc/fstab に追記。
# /etc/fstab の構造(6列)
# <デバイス> <マウント先> <FS種別> <オプション> <dump> <fsck順>
UUID=c9475d25-11d1-43d6-8fc2-46de01e8bbaf /mnt/data xfs defaults 0 0
| 列 | 意味 |
|---|---|
| 1. デバイス | UUID=... 推奨。/dev/sdb1 でも書けるが、デバイス名は順序が変わる可能性がある |
| 2. マウント先 | マウントポイントの絶対パス |
| 3. FS 種別 | xfs ext4 swap vfat nfs など |
| 4. オプション | defaults(=rw,suid,dev,exec,auto,nouser,async)/ noexec / nosuid / ro など |
| 5. dump | 古い dump コマンド用。通常 0 |
| 6. fsck 順序 | 起動時 fsck の順序。/ は 1、その他は 2、不要なら 0 |
5.3 mount -a で構文チェック&即時反映
fstab を編集したら 必ず mount -a で動作確認します。エラーがあればここで気付ける ── 再起動してから気付くと起動失敗で復旧が大変です。
$ sudo blkid /dev/sdb1 # UUID を控える
$ sudo vi /etc/fstab # 末尾に1行追加
$ sudo mount -a # 構文チェック+即時マウント
$ df -h /mnt/data # 反映確認
📖 試験Tipsボックス:mount と /etc/fstab
主題:1.05.3(重要度:高)
出題パターン:「全 fstab エントリを反映するコマンドは?」「fstab で UUID 指定する書式は?」「6列目の意味は?」
暗記ポイント
mount /dev/sdb1 /mnt/data一時マウント /mount -t xfs ...FS種別明示 /mount -o ro ...読取専用umount /mnt/data解除(またはumount /dev/sdb1)mount -a全 fstab エントリを反映(構文チェックを兼ねる)- fstab 6列:デバイス・マウント先・FS種別・オプション・dump・fsck順
- UUID 指定が安全(デバイス名は SCSI ID 順序が変わる可能性)
- 典型オプション:
defaults/ro/noexec/nosuid/noatime
第6章:LVM ── 論理ボリューム管理
6.1 なぜ LVM か
素のパーティションには制限があります。「サイズを後から大きくしたい」「複数ディスクをまとめて1つの大きな領域として扱いたい」「スナップショットが欲しい」── これらを解決するのが LVM(Logical Volume Manager)です。
- オンライン拡張:マウントしたまま LV のサイズを拡大できる
- 複数ディスクの集約:3 本のディスクを 1 つの VG にまとめて、その上に LV を切る
- スナップショット:バックアップ前に整合性のあるコピーを瞬時に作成
- オンラインでの追加:実機に新ディスクを足して、即時 VG 拡張
6.2 PV / VG / LV の階層
LVM は物理ディスクを直接使わず、PV・VG・LV という3つの層を重ねて構成します。まずは全体像を図で押さえます。

6.3 PV → VG → LV を作る
linuc-almaで実行:
$ sudo pvcreate /dev/sdb2
実行結果:
Physical volume "/dev/sdb2" successfully created.
linuc-almaで実行:
$ sudo vgcreate datavg /dev/sdb2
$ sudo lvcreate -n datalv -L 1G datavg
実行結果:
Volume group "datavg" successfully created
Logical volume "datalv" created.
状態確認は pvs vgs lvs の3コマンド。linuc-almaで実行:
$ sudo pvs
$ sudo vgs
$ sudo lvs
実行結果:
PV VG Fmt Attr PSize PFree
/dev/sda3 almalinux lvm2 a-- 48.41g 0
/dev/sdb2 datavg lvm2 a-- <4.00g <3.00g
VG #PV #LV #SN Attr VSize VFree
almalinux 1 2 0 wz--n- 48.41g 0
datavg 1 1 0 wz--n- <4.00g <3.00g
LV VG Attr LSize ...
root almalinux -wi-ao---- 44.46g
swap almalinux -wi-ao---- <3.95g
datalv datavg -wi-a----- 1.00g
既存の almalinux VG(root と swap)と並んで、新しい datavg(datalv 1GB)が見えます。VG には残り 3GB の空きがあり、ここから後で LV を拡張できます。
6.4 LV にファイルシステムを作ってマウント
LV は通常のブロックデバイスとして扱えます。デバイス名は /dev/datavg/datalv または /dev/mapper/datavg-datalv。
linuc-almaで実行:
$ sudo mkfs.ext4 /dev/datavg/datalv
$ sudo mount /dev/datavg/datalv /mnt/data
$ df -h /mnt/data
実行結果:
ファイルシス サイズ 使用 残り 使用% マウント位置
/dev/mapper/datavg-datalv 974M 24K 907M 1% /mnt/data
6.5 オンライン拡張 ── LVM 最大の見どころ
このマウントしたままの状態で、LV を 500MB 拡張してみます。linuc-almaで実行:
$ sudo lvextend -L +500M /dev/datavg/datalv
実行結果:
Size of logical volume datavg/datalv changed from 1.00 GiB (256 extents) to <1.49 GiB (381 extents).
Logical volume datavg/datalv successfully resized.
LV のサイズは増えましたが、上に乗っているファイルシステムはまだ 1GB のまま。resize2fs(ext4 用、XFS なら xfs_growfs)で広げます。linuc-almaで実行:
$ sudo resize2fs /dev/datavg/datalv
実行結果:
resize2fs 1.46.5 (30-Dec-2021)
Filesystem at /dev/datavg/datalv is mounted on /mnt/data; on-line resizing required
old_desc_blocks = 1, new_desc_blocks = 1
The filesystem on /dev/datavg/datalv is now 390144 (4k) blocks long.
linuc-almaで実行:
$ df -h /mnt/data
実行結果:
ファイルシス サイズ 使用 残り 使用% マウント位置
/dev/mapper/datavg-datalv 1.5G 24K 1.4G 1% /mnt/data
974M(≒1GB)が 1.5G に拡張されました。マウントしたまま、サービスを止めず、ユーザーへの影響なし。これが LVM の代表的な強みです。
XFS で同じことをするなら lvextend + xfs_growfs /mnt/data。XFS は拡張のみ可能で縮小不可な点に注意してください。
📖 試験Tipsボックス:LVM の階層
主題:1.05.3(重要度:高)
出題パターン:「PV / VG / LV の関係は?」「LV を拡張するコマンドは?」「拡張後にファイルシステムをオンラインで広げるコマンドは?」
暗記ポイント
- 物理 → PV (
pvcreate) → VG (vgcreate) → LV (lvcreate) → FS マウント - 確認の3点セット:
pvsvgslvs(簡易)/pvdisplayvgdisplaylvdisplay(詳細) - 拡張:
lvextend -L +N /dev/vg/lv→xfs_growfs <mountpoint>(XFS)/resize2fs /dev/vg/lv(ext4) - 削除:
lvremove→vgremove→pvremove(逆順) - LV のデバイス名:
/dev/<vg>/<lv>または/dev/mapper/<vg>-<lv> - XFS は拡張のみ。縮小したいなら ext4
第7章:現場での使いどころ
- ディスク逼迫対応:
df -hで / が満杯 →du -sh /var/* | sort -hで犯人特定 → 不要ログ削除 or LV 拡張 - 新規ディスクの追加:物理ディスク差し込み or クラウドでボリュームアタッチ →
fdisk/partedでパーティション →mkfs→/etc/fstabで永続マウント - クラウドでのボリューム拡張:AWS EBS をオンライン拡張 →
growpart→xfs_growfsまたはresize2fs(同じ流れ) - LVM スナップショット:本番 DB バックアップ前に
lvcreate -sで整合性のあるスナップショットを取得 → 安全にバックアップ - 緊急時のレスキューモード:起動失敗 → レスキューイメージで起動 →
/etc/fstabを vi で修正 → 復旧 - ディスク監査:
lsblk+blkid+pvs/vgs/lvsの組み合わせで「サーバーのストレージ構成スナップショット」を取得し、構成管理ツールに反映 - 中古ディスクの再利用:
wipefs -a /dev/sdXで旧 FS/LVM 署名を消去 → 安全に再フォーマット
第8章:ヒヤリハット ── /etc/fstab のミスで起動不能
⚠️ /etc/fstab タイポで再起動後に緊急モード突入
新人 L 君は新規ボリュームを追加するため、/etc/fstab に行を追記しました。blkid で控えた UUID を貼り付けたつもりが、UUID の最後の数文字が抜けていたことに気付かず保存。動作確認の mount -a も飛ばして、メンテナンス後にサーバーを再起動。
結果、起動時の自動マウントで該当 UUID が見つからず緊急モード(emergency mode)に突入。SSH も上がらず、Hyper-V コンソールから root パスワードでレスキューモードにログイン → vi /etc/fstab で該当行を修正 → 再起動 で復旧。リモートワーク中だったため、コンソールアクセス手段が無ければ復旧不能でした。
教訓:
/etc/fstab編集後は必ずsudo mount -aで構文チェック&即時反映。エラーがその場で出る- UUID は
blkidの出力をコピー&ペーストする(手書きで間違える) - 致命的にしないオプション:fstab エントリに
nofailを付けると、マウント失敗しても起動は続く(重要度の低いボリューム向け) - 本番作業時はコンソールアクセス手段を必ず確保(IPMI / Hyper-V / クラウドのシリアルコンソール)
- fstab を変更する作業は再起動テストまでが1セット。「次の再起動でしか問題が出ない」のが厄介
類似事例:FS 種別の指定ミス(ext4 のはずが xfs と書いた)、必須列の欠落(fsck 順を書き忘れて 6 列にならない)、デバイス名指定で SCSI 順序がズレて別のディスクをマウント。fstab は1行のミスでサーバーを停止させると心得てください。
やってみよう
linuc-alma に /dev/sdb(5GB)が接続されている前提で、演習1〜4を順に実行してください。
演習1:ディスクとパーティション形式の把握
lsblk -o NAME,SIZE,TYPE,FSTYPE,MOUNTPOINTSlsblk -o NAME,SIZE,TYPE,PTTYPEsudo fdisk -l /dev/sdb(ディスク情報、空のはず)cat /proc/partitions
演習2:parted で /dev/sdb に2パーティション作成
sudo parted /dev/sdb mklabel gpt --scriptsudo parted /dev/sdb mkpart primary 1MiB 1GiB --scriptsudo parted /dev/sdb mkpart primary 1GiB 100% --scriptsudo partprobe /dev/sdbsudo parted /dev/sdb printでパーティション確認lsblk /dev/sdbで sdb1 と sdb2 を確認
演習3:XFS 作成・マウント・/etc/fstab
sudo mkfs.xfs /dev/sdb1sudo mkdir -p /mnt/datasudo mount /dev/sdb1 /mnt/datadf -h /mnt/dataで 959M 程度が見えるsudo blkid /dev/sdb1で UUID をコピー(メモ帳に貼る)sudo umount /mnt/datasudo vi /etc/fstabで末尾に追記:UUID=<先ほどの UUID> /mnt/data xfs defaults 0 0sudo mount -aで構文チェック&再マウント(エラーが出ないことを確認)df -h /mnt/dataで再マウント反映確認- クリーンアップ:
sudo umount /mnt/data→sudo vi /etc/fstabで追加した行を削除 →sudo mount -aでエラー無し確認
演習4:LVM で /dev/sdb2 を拡張可能ボリュームに
sudo pvcreate /dev/sdb2sudo vgcreate datavg /dev/sdb2sudo lvcreate -n datalv -L 1G datavgsudo pvs && sudo vgs && sudo lvsで 3 階層を確認sudo mkfs.ext4 /dev/datavg/datalvsudo mount /dev/datavg/datalv /mnt/datadf -h /mnt/data(974M ≒ 1GB)sudo lvextend -L +500M /dev/datavg/datalvsudo resize2fs /dev/datavg/datalvdf -h /mnt/data(1.5G に拡張されている)- クリーンアップ:
sudo umount /mnt/data
sudo lvremove -f /dev/datavg/datalv
sudo vgremove -f datavg
sudo pvremove /dev/sdb2
sudo wipefs -a /dev/sdb1 /dev/sdb2 /dev/sdb
sudo rmdir /mnt/data
分からないオプションは man parted、man fdisk、man mkfs.xfs、man lvm で調べてください。LVM は man lvextend man lvcreate など個別 man も充実しています。
理解度チェック
○か×で答えてください。
- MBR の基本パーティションは最大 4 個までだが、GPT は既定 128 個まで作成できる。
parted /dev/sdb mklabel gptはパーティションテーブルを GPT 形式で初期化する。/etc/fstabの編集後にmount -aを実行すると、構文チェックと未マウントエントリの即時反映が行われる。- LVM の階層は「物理ディスク → LV → VG → PV」の順である。
- ext4 は
resize2fsでオンライン拡張・縮小ができるが、XFS は拡張のみで縮小はできない。
解答
- 1. ○ MBR は 4 基本(または 3 基本+1 拡張+論理)/ GPT は既定 128
- 2. ○
mklabel gptでパーティションテーブルを GPT で初期化(既存データは消える) - 3. ○
mount -aは fstab を読み直し、未マウントエントリをマウントする。構文エラーがあればその場で表示される - 4. × 正しくは「物理ディスク → PV → VG → LV」。順序を逆にすると意味が変わる
- 5. ○ ext4 は
resize2fsでオンライン拡張・縮小可。XFS はxfs_growfsで拡張のみ、縮小は別ボリュームへのコピーが必要
LinuC 101 シリーズ 完走
第1回から第12回までお疲れさまでした。LinuC 101 試験対策シリーズはここで完結です。
これまで学んだこと(全12回 振り返り)
| 回 | テーマ | 主題 |
|---|---|---|
| 1 | Linuxの起動・接続・停止 | 1.01.1 |
| 2 | ブートプロセスの仕組み | 1.01.3 |
| 3 | systemd マスター講座 | 1.01.3 |
| 4 | プロセス管理とハードウェア基礎 | 1.01.4 + 1.05.1 |
| 5 | 仮想マシンとコンテナの基礎 | 1.01.2 |
| 6 | パッケージ管理マスター | 1.04 全般 |
| 7 | ファイル操作の実践 | 1.02.2-1.02.4 |
| 8 | パーミッション・所有者・特殊権限 | 1.02.1 |
| 9 | コマンドライン・リダイレクト・パイプ | 1.03.1, 1.03.3 |
| 10 | テキスト処理の三種の神器 | 1.03.2, 1.03.4 |
| 11 | vi/vim 入門 | 1.03.5 |
| 12 | ディスク・パーティション・ファイルシステム | 1.05.2, 1.05.3 |
ここまで来たあなたへ
本シリーズを通読したあなたは、新卒インフラエンジニアとして現場で求められる Linux の基礎を一通り身につけています。systemd でサービスを動かし、プロセスを観察し、パッケージを管理し、ファイルを編集し、テキストを処理し、ディスクを増設する ── これらは現場の日常作業の土台です。
LinuC 101 試験を受験する場合、本シリーズの内容を理解し、各回末尾の「やってみよう」を実機で完走すれば、合格圏内に届きます。試験はあくまで通過点で、本当の目的は現場で困らない Linux 力を身につけることです。
次のステップ:LinuC 102
LinuC レベル1 の合格には、もう一つの試験 102 も必要です。LinuC 102 試験対策シリーズ では、本シリーズと同じ進め方で次の主題を扱います。
- シェル環境のカスタマイズ(環境変数・エイリアス・履歴・ロケール)
- Bash スクリプト入門(if / for / 関数で書く現場の自動化)
- ネットワーク基礎(TCP/IP・ip コマンド・NetworkManager)
- ネットワークトラブルシュートと DNS クライアント
- ユーザ・グループ管理と sudo 設定
- ジョブスケジューリングと時刻管理(cron / systemd timer / chrony)
- ログ管理(journalctl / rsyslog)
- メール配送(postfix の基本)
- ファイアウォール(firewalld / ufw)と SELinux
- 暗号化(SSH 鍵認証・GnuPG・OpenSSL)
- クラウドセキュリティ基礎(IAM・公開鍵管理・Bastion)
- オープンソースの文化(GPL/MIT/Apache 等のライセンス)
本シリーズ第6回(パッケージ管理)以来の linuc-ubuntu も、ネットワーク回・ログ回・SSH 回で再登場します。AlmaLinux と Ubuntu の比較学習が再開されます。
関連シリーズ:「新卒からプロへ — Linux エンジニア養成講座」
「試験合格より、もっと現場の生々しい話が知りたい」「実装中心の話を読みたい」という方には、「新卒からプロへ — Linux エンジニア養成講座」 をおすすめします。本シリーズより少し進んだ実装トピック(プロキシ構築、ユーザー管理の運用、SSH の応用、SELinux 実戦運用、ログ集約、firewalld の本番設定など)を扱う既存シリーズです。
LinuC 101 試験対策シリーズ 全12回
- 第1回 Linuxの起動・接続・停止:systemctl・login・shutdownの基本
- 第2回 ブートプロセスの仕組み:BIOS/UEFI → GRUB → systemd の流れ
- 第3回 systemdマスター講座:サービス管理・unitファイル・ターゲット
- 第4回 プロセス管理とハードウェア基礎(ps, top, lsblk, lspci, lsusb)
- 第5回 仮想マシンとコンテナの基礎:KVM・Docker・Podman 入門
- 第6回 パッケージ管理マスター:dnf / apt / rpm / dpkg の実践
- 第7回 ファイル操作の実践:cp, mv, find, リンク, FHS
- 第8回 パーミッション・所有者・特殊権限(SUID/SGID/Sticky)
- 第9回 コマンドライン・リダイレクト・パイプの基礎
- 第10回 テキスト処理の三種の神器:grep / sed / awk + 正規表現
- 第11回 vi/vim 入門:現場で使えるエディタ操作
- 第12回 ディスク・パーティション・ファイルシステム(fdisk, mkfs, mount, LVM)(本記事・最終回)
